遺言書のおかげもあって円満相続でした

父の認知症が急激に進んでしまった時、私の家族と弟の家族は海外に暮らしておりました。その間、母が一人で全てを担ってくれていました。
はじめのうちは一緒に暮らしていた父と母ですが徘徊がひどくなり、母が眠れなくなり、また、父が骨折したこともあって病院を備えた施設にお願いすることになりました。
私も一時帰国した際に様子を見に行ったのですが、その時は既に食べることも困難になり瘦せ細り、私のことも分からない状態でした。
もうあまり長くはないということを感じずにはいられない厳しい状態でした。夫の本帰国が決まって実家のそばに戻ってきてすぐに父は亡くなりました。
何年かに渡り、徐々に認知症が進んだので遺言状なんてまさか残してないだろうと思っていました。母が、父のタンスを整理していたらきちんと封筒に入った遺言状が見つかった時は本当に驚きました。
あんなに認知症が進んでいてどのタイミングで父は遺言状を書いたのでしょうか。そこにはなぐり書きの、幼稚園児のようなやっと読める字で「全ての財産は妻へ」と、書かれていました。
献身的に介護をしてくれた母への最後の言葉だったのでしょう。書を嗜み、とても几帳面だった父のこれが最後の文字だったのかと思うと胸が熱くなりました。
父の遺言状のおかげで私と弟は財産に関して何も揉めることはなく全ては母に委ねました。
そして、それが妥当だとも私達姉弟は思いました。もし、何も残してくれていなかったら何かしらの話し合いが持たれ家や、預貯金などで面倒なことになったと思います。
認知症で苦しんでいる方たちは多いと思います。でも、症状がひどくなる前であれば遺言状は残すことは可能です。
父が最後の力を振り絞って遺言状を書いてくれたことに心から感謝せずにはいられません。
事務所からひと言コメント:このご家族は、元々仲が良かったので遺言書でさらに円満相続ができたと思われますが、家族の仲が良くない場合は、認知症気味ということで、逆に遺言書の真偽が争いの元になる可能性があります。
遺言書作成をお考えの方は、とりあえずは自筆の遺言書で書いていただいたとしても、早目に公正証書の遺言書にしていただくことをお勧め致します。
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