2017-05-30

安易に相続放棄できない場合も・・・

私の父は、2016年8月に亡くなりました。それによって子供である私たちが父の遺産を相続することになりました。

私には兄が二人いて、二人とも父の会社を手伝い、その後、下の兄が代表取締役社長、上の兄が専務取締役に就任しました。

父は、代表取締役時代、会社経営に失敗し、多くの負債を抱えていました。そのため、亡くなった後に相続する場合にも、負の財産が多く、相続放棄するか限定承認した方がよい状況でした。

相続人が、兄二人と私の3人だけであったため、限定承認を兄にすすめ、財産の範囲内で、負の財産を相続する方が良いのではないかとすすめました。

しかし、兄は、首をたてに振ろうとはしませんでした。なぜなら、父の負の財産の中には、得意先の債権があったため、限定承認をしてしまうと、取引先の債権が回収できず、損害を与えてしまう危険性がありました。

言い換えれば、限定承認をしてしまうと、取引先の借金を踏みたおすことと同じことになります。

債権を踏み倒してしまうと取引先との信頼関係がなくなります。そうなると今まで仕事をくれていたお得意様が仕事をくれなくなります。

そうすると、企業の収益は落ち、倒産か会社更正法による買い主の再建手続きに入ることになります。この流れは、相続放棄をした場合にも同様となります。

相続放棄をすると、初めから相続人でなくなります。債権者から見ると、相続放棄されると、債務者が一人へってしまうことと同じであるため、どうしても避けたいと言うことが本音です。

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