相続放棄の手続きも重要です。

「相続でもめた」というお話が多いようです。しかし、相続というのは財産をもらう場合もありますが、借金を押し付けられる場合もあります。
法律上マイナスの財産すなわち借金もまた「相続」されます。
私の父は地方都市で小さな商店を経営していました。商売には熱意がなく。それでいてギャンブルは好きという人でした。
亡くなる数年前に不渡りを出してしまいました。一旦は全財産を失い、店も借金のかたに取られてしまいました。しかし、私を含めて子供達が援助して、その後も細々と商売は続けていました。
余命は宣告されていましたが、医師の宣告よりも2か月ほど早い死でした。このとき困ったのは、父の借金がどれほどあるのか、それともないのかが不明ということでした。余命のことは告知していなかったので、問いただすこともできませんでした。
そこで本を買ってきて勉強して、相続放棄という制度を知りました。私が自分で手続きをしたのですが、かなり手間がかかりました。
まず妹を説得する必要がありました。相続放棄は、最初から相続人ではなかったことになるという制度です。財産と借金の両方を放棄するわけです。
どうやら、いくらかでも財産があるのではないかと期待していたようです。限定承認という別の制度のほうがよいと言い出しました。
手続きが面倒だし、財産などあるわけがないと説得しました。妹はさらに不満を述べましたが、結局は承知しました。その後、裁判所で相続放棄の申述書を受け取り、職員から簡単な説明を受けました。
叔父や叔母にも権利があるということなので、連絡を取りました。さらに代襲相続という制度があるため、亡くなった叔母の子供にも連絡しました。
私たちだけが相続放棄をすると、他の親族のほうに相続権が行ってしまいます。この場合は借金が行ってしまうわけです。
相続放棄には3か月という期間制限があるので、大急ぎで手続きをしました。幸い、叔父や叔母からクレームはありませんてじた。
こうして、相続放棄の手続きを済ませました。やっておいて良かったと思うことが、それから1月ほど後になってありました。
まったく面識のない男性から突然電話がかかってきました。父の知り合いで、金を貸しているということでした。
相続放棄をした旨を伝えて電話を切ると、それ以後は連絡がありませんでした。
借金の話が本当かどうか不明ですが、相続放棄の手続きをしておいてよかったとつくづく思いました。
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