「うちに限って相続争いなんて醜いことはないだろう」とは思い込まないで

祖父が亡くなった際の相続の配分を巡り、相続人である祖母とその子らとの間で、若干のわだかまりが生じたことがありました。
というのも、祖父は特に遺言書などを残していませんでした。それまで仲が悪いということもなく、また、子どもたちのうちの誰か一人が特段、祖父の面倒を見ていたということも無かったため、当然、法定相続分で相続をするものと考えていました。
ところが葬儀等が一段落し、相続した土地家屋等の登記をする段階になって、長兄が、明らかに自分に有利な相続の配分をするという提案をしてきたのです。
長兄としては、決して強欲を出したわけではなく、長男としてこの家を継ぐのだという気持ちで、そのような主張をしたようでした。そうした家父長的価値観を否定するものではありませんが、祖母や、長兄以外の子らとしては、納得のいくものではありませんでした。
そうした中、「民法ではこういう法定相続分になっているんですよ」と主張したところで、「家を継ぐ」という気持ちで一杯の長兄の心に響くことはありませんでした。
もし祖父が納得のいく遺言を残しておいてくれれば、たとえそれが、長兄の考える家父長制的なものであったとしても、それが亡き祖父の遺志であるとして、納得することもできたかもしれません。また、もしかしたら祖父の生前に、相続人になりうる親族間で、きちんと話し合いをもつ機会を設けるきっかけになったかもしれません。
「うちに限って相続争いなんて醜いことはないだろう」と思い込まずに、きちんと話し合い、遺言書等を用意しておくことが、故人にとっても残された者にとっても、大切なことと思いました。
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