内縁関係では相続できません

私も妻も身寄りのない者同士でした。妻は高級クラブを経営し、私は紐のような存在の内縁の夫でした。同い年で40歳の時にクラブを始め、妻が死亡する55歳の時まで15年間営業しました。
死亡した妻とは籍は入れていませんが、22年間夫婦同様の生活をしてきました。
クラブは繁盛し貯えもかなりでき、クラブの土地建物は妻の名義になっていました。預貯金と不動産でおよそ1億円の価値がありました。
妻の財産は当然私が引き継ぐものと思っていましたが、相続に詳しい人に話を聞くとそう簡単には私のものにならないと知りました。
そこで司法書士に相談しました。私の立場は、相続権はないが被相続人とは生前から深い縁があり、遺産の全部を取得させるのが相当な特別縁故者に当たりました。
特別縁故者とは、「被相続人と生活を一にしていた者」や「被相続人の療養看護に努めた者」などです。
私は特別縁故者に該当すると司法書士に教えられ、家庭裁判所が定めた相続人捜索の期間満了後に、特別縁故者に対する財産分与の申し立てをしてその権利を取得しました。
専門家に相談してスムーズに妻の遺産の全てを内縁の夫の私が受け取ることができました。
専門家に相談していなかったら、受け取ることはできたにしても時間がかかりすったもんだをしたと思います。
これは余談になりますが、司法書士さんに相続人がいなかった場合はどうなるのか尋ねたところ、家庭裁判所が6か月以上の期間を定めて相続人の捜索を公告し、相続人が現れなかった場合は財産は国に引き継がれるとの説明をしてくれました。
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